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「天然凍み豆腐」製造がピンチ!? 温暖化が大きく影響か?

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2017/12/09 08:18 ウェザーニュース

「凍(し)み豆腐(高野豆腐)」は、地域によって名称が異なります。高野山の精進料理のひとつとして全国に広まった「高野豆腐」がよく知られていますが、今回取材した福島県を含む東北地方では「凍み豆腐」と呼ばれることが多いようです。

豆腐を凍結・乾燥させた栄養価に優れた保存食で、地域によってはおせち料理の煮しめにも入っていることがあります。その起源は戦国時代ともいわれ、古くから庶民の間で親しまれてきました。

天然凍結の凍み豆腐が減少

凍み豆腐を作るには、まず豆腐を薄く切ってから凍らせるのですが、その方法としては厳冬期に戸外に出す方法と冷凍庫に入れる方法があります。しかし、今、天然凍結で作られた凍み豆腐がどんどん減少しているのです。その理由を、福島県福島市立子山(たつごやま)で天然凍み豆腐を製造する「寺島凍豆腐店」の寺島さんに聞きしました。

-3℃以下で初めてできる、天然凍み豆腐

「天然凍結の凍み豆腐は、屋外の温度が-3℃以下にならないとできません。昔は12月になるとこの辺は-3℃以下に下がり、だいたい3月一杯まで製造できていました。ところが10年ぐらい前から温暖化の影響なのか、1月に入らないと気温が下がりきらず、しかも気温が上がるのも早くなり、2月半ばぐらいまでしか作ることができなくなってきています」(寺島さん)

つまり、気温の関係で製造期間が1ヵ月半ほど短くなってしまったのです。今年は寒くなるのが早いと感じられましたが、一時的な冷え込みでは凍み豆腐は作ることができません。

「さらに、風も出来具合に大きく影響します。凍み豆腐は凍結する際に風に吹かれてしまうと、表面がざらざらしてしまい、食感が劣るのです。そこで、風のない夜を狙って戸外に出し、キメの細かい凍み豆腐になるよう気を使います」(寺島さん)

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-3℃以下の風のない夜に外に出す
このように、天然凍結は気象条件によって大きく左右される上、作ることのできる期間が短くなってきたため、自然条件に影響されない冷凍庫凍結が大部分になっているというわけです。

一度、天然凍結と機械凍結を食べ比べてみてはいかがでしょう。天然凍結はその土地の気象が育んだ味がするはずです。