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12年ぶりに黒潮が大蛇行 生活への影響は?

2017/09/29 19:13 ウェザーニュース

9月29日、気象庁より「黒潮は、8月下旬から、紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れる状態が続いており、12年ぶりに大蛇行しているとみられます。」との発表がありました。

これは一体どういうこと?私たちの生活に影響は?

黒潮の大蛇行とは?

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四国・本州南方を流れる黒潮には、大きく分けて2種類の安定した流路のパターンがあります。

【1】大きく蛇行して流れる「大蛇行流路」
【2】四国・本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路(通常の流路)※」
※図で示されているのは非大蛇行接岸流路

黒潮が大蛇行流路となって流れている状態を黒潮大蛇行と呼んでおり、今年8月下旬からこの状態が続いているようです。

1967年以降、黒潮大蛇行は5回発生していて、最近では2004年7月〜2005年8月に発生しています。

生活への影響は?

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2004年・漁況の特異現象
青線は記載の魚が不漁だった時期(中央水産研究所より)

漁業に影響
魚種によっては水揚量が減少する可能性も

前回、黒潮の大蛇行が発生した2004年時の漁協の状況は、上の図の通りです。
大蛇行になる前の小蛇行が停滞・東進している頃から不漁となり、大蛇行が発生するとシラスのみならず、他の魚も不漁となりました。

不漁の原因が必ずしも黒潮大蛇行と断定することはできませんが、黒潮大蛇行に伴い、内側反流が発達するとカタクチイワシの卵や仔魚が流されてしまう、またはプランクトンの少ない黒潮水系に覆われてしまい、漁場形成がしにくくなるなどが懸念されています。

このため、今後、漁場の位置や水揚量への影響が心配されます。

東海〜関東の沿岸は高潮被害に注意

(以下、気象庁発表資料より)
秋は1年の中でも潮位が高い時期でもあり、東海から関東地方の沿岸では、黒潮流路の変動によって潮位が上昇することで、低地で浸水などの被害が生じる可能性があります。特に、台風や低気圧が接近した場合は、さらに潮位が高くなりますので、より一層の注意が必要です。

過去には、1979年の黒潮大蛇行期間中、10月に台風が通過した際、東海地方で顕著な高潮による浸水被害が発生しました。


黒潮大蛇行は、長い場合は年単位で継続することもあるため、今後の情報にも注意が必要です。

参考資料など

・国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所HP
http://nrifs.fra.affrc.go.jp/ResearchCenter/3_FOME/kuroshio/index.html
・静岡県水産試験場研究リポート
http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/04library/4-7/pdf_hekisui/hekisui114.pdf
・気象庁HP
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