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「雷様に“おへそ”をとられる」という俗説の深いワケ

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2017/08/23 15:54 ウェザーニュース

子どもの頃、「雷様に“おへそ”をとられちゃうよ」「雷が鳴ったら“おへそ”を隠して」と言われた経験はありませんか?

雷の正体は電気ですし、雷が鳴っているときに“おへそ”を出していたとしても、なくなることなんてありません。

それでは、なぜこんなことが言い伝えられてきたのでしょうか。

雷が鳴るとき、冷たい風が吹く

これには諸説ありますが、そのうちのひとつが「雷が鳴るときは空気が冷たくなるため、おなかを冷やさないように注意したのではないか」ということです。

確かに、雷が鳴ったり、ゲリラ豪雨になったりするときは、空気がひんやりします。それはなぜでしょうか。

空が厚い雲で覆われているので、太陽の光が届かないというのも理由のひとつですが、それだけではありません。
空気をひんやりさせるもの、それは雷を発生させる積乱雲(雷雲)から吹く冷たい風なのです。

積乱雲に秘密アリ

そもそも積乱雲は、強い上昇気流が発生することでできます。特に夏場は、強い日差しによって地表付近の空気が暖められます。暖かい空気は軽いため、上昇気流が発生しやすいのです。

暖かい空気が上空まで運ばれると、今度は冷やされて、空気中の水蒸気が小さな氷や水の粒になります。これが雲です。

この雲の粒がまわりの水蒸気を取り込んだり、雲粒同士がぶつかったりすると大きくなります。すると、重いので地上に落ちようとします。これが雨です。

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しかし、地上に落ちる途中で、水や氷の粒はある程度蒸発します。すると、周囲からは熱が奪われます。

熱が奪われると聞いてもピンと来ないかもしれないのですが、濡れタオルで体をふいたときに涼しく感じるのと同じ!これは体の表面についた水が蒸発するときに、体から熱を奪うからなんです。

熱を奪われた冷たい空気は、周囲よりも重くなります。これが積乱雲から発生する冷たい下降気流の正体なのです。

周囲よりも高いところに雷は落ちる

もうひとつ、“おへそ”を隠したほうがいいという理由として、「“おへそ”を隠すと自然に前かがみになるから」という説もあります。

雷は、周囲よりも高いところに落ちやすいため、かがめば少しは雷が落ちにくくなるかもしれないというわけです。
ただし、広い芝生の広場や砂浜など、周囲に何も高いものがない場合、多少かがんだところで雷の落ちやすさに変化はありません。

空が暗くなり、ひんやりとした風が吹いて、ゴロゴロという音が聞こえたら、積乱雲が近づいているサインです。
かがむよりは車や建物の中に避難して、安全を確保するようにしましょう。
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