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【九州豪雨】佐賀のレーダーが捉えていた線状降水帯

2017/07/09 07:56 ウェザーニュース

7月5日からの梅雨前線による長時間の豪雨は九州各地に甚大な災害をもたらし、いまもなお、救助活動が行われています。
ウェザーニューズは今回の豪雨をもたらした線状降水帯といわれる発達した雨雲の列を捉えたレーダー画像を公開しました。

レーダーが捉えた高度10,000mの雨雲

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佐賀県鳥栖市の「WITHレーダー」が捉えた降水セル(鉛直断面)
佐賀県鳥栖市に設置された独自観測レーダー「WITHレーダー」によって、5日16時半ごろ朝倉市の西側で発生した降水セル(雨粒などの降水粒子を多く含む空気の塊で、レーダーでは塊状の強い反射強度で示される)が東へ移動しつつ、高度7,000m〜10,000mまで発達する様子が観測されました。

また、その西側で新たなセルが発生し、東へ移動、ということが繰り返されていました。このようにして「線状降水帯」が形成されたことが大雨の要因と考えられます。

今回のように、降水セルが同じような場所で発生・移動を繰り返して形成される線状降水帯を、バックビルディング型線状降水帯と呼びます。

なぜ、このような豪雨を長時間もたらす線状降水帯が生まれてしまったのか。

要因は大きく2つあります。

要因1『梅雨前線の停滞』

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7月4日に台風3号が西日本を通過し、5日には日本海にあった梅雨前線が西日本や東日本までゆっくりと南下しました。

すると、梅雨前線は太平洋高気圧と日本海の高気圧に挟まれて、動きが遅くなり、九州北部の付近で梅雨前線が停滞。さらに、前線に向かって太平洋高気圧の縁をまわる暖かく湿った気流(暖湿気流)が流れ込んでいたため、雨雲を作る元が絶えず供給するシステムが出来上がってしまいました。

要因2『10時間にわたる停滞』

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バックビルディング型の線状降水帯が発生するためには、積乱雲の発生地点で風の強い収束が維持されることが必要です。

当時の実況解析を見ると、大分県と熊本県や、福岡県の北東側と南西側で5度前後の気温差があり、明瞭な前線となっていました。

5日午前からの散発的な雨によって前線の北東側で気温が低下し、東シナ海からの南西風がその冷気に乗り上げる形で上昇気流が発生したと推測されます。上空は西風となっており、前線付近で発生した積乱雲はこの風により、東側へと流されました。

また、博多湾付近からの北西風が東シナ海からの南西風とぶつかり、強く収束していました。この風の収束も冷気の形成と合わせて、同じ場所での連続的な積乱雲の発生に寄与していたと考えられます。

この大雨は、線状降水帯が約10時間にわたり停滞することで発生したのです。
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