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いま見直したい過去の大雨災害

2017/06/30 19:35 ウェザーニュース

明日7月1日も、西日本や東日本で大雨のリスクがあります。太平洋高気圧が北へ張り出し、梅雨前線が日本海まで押し上げられた今の状況は、梅雨末期や秋雨の頃に、大雨をもたらす気圧配置と言えます。

豪雨システム『バックビルディング現象』に警戒

時期は異なりますが、今回のように日本海に前線が停滞し、暖かく湿った空気が流れ込んだことで発生した豪雨が、2014年8月の広島豪雨です。

2014年8月19日の夜から20日朝まで続いた豪雨では、1時間に100mmを超える雨が降り、甚大な土砂災害を引き起こしました。

この時、強い雨を継続させたのは『バックビルディング現象』と呼ばれる雨雲発生のしくみでした。
豊後水道を抜けてきた南風と上空の南西風が広島市付近の山でぶつかり、積乱雲を発達させ、上空の南西風は積乱雲を風下に押し流しました。風上の山で雲が発達しては風下へ流れるという構図が継続したことで豪雨につながったものです。
当時のウェザーリポート(2014年広島)

予測が難しい現象…線状のエコーに注意

今夜から明日は、西風と南西風がぶつかる上空の風向きの予想などから、こうしたバックビルディング現象の可能性が広島などのほか、京阪神を含む近畿中部や岐阜や愛知など東海エリアでも考えられます。

ただ、湿った空気の入りやすい気圧配置や風向きの条件のほかに、山を背負っている、谷筋に沿って風が流れるなど、地形的な要因、様々な条件が重なって、こうした豪雨はもたらされるため、しくみは分かっていても、発生の有無を予測するには限界があります。

◆実況を確認
バックビルディング現象の可能性があるエリアでは、雨雲レーダー上に“線状のエコー”が現れたら特に注意が必要です。
猛烈な雨を記録した長崎県壱岐市周辺のレーダーエコー(29日深夜)
29日深夜に記録的短時間大雨情報が発表され、約110mm/hの猛烈な雨となった長崎県壱岐市でも、線状のエコーがかかっていました。
こちらはバックビルディング現象とは少し異なるのですが、このようなエコーがかかると豪雨の危険があります。

最悪に備え早めに行動

夜、外が暗い時間に雨が強まった場合、外へ避難するのはかえって危険なこともあります。
崖など、近くに崩れる危険がある場合は、できるだけ雨が強まる前に安全な場所へ避難することをおすすめします。

もしも、避難の前に滝のような雨が降ってきた場合、ゴロゴロと普段は耳にしない音を聞くなど異変を感じた場合は、建物の2階以上の部屋で、崩れやすいと考えられる崖や斜面から最も離れた場所へ移動し、家の中で避難することをおすすめします。
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