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「数十年に一度」の意味

2017/09/15 18:51 ウェザーニュース

「◯年に一度の大雨」というような表現を聞いたことがありませんか。

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栃木県小山市(2015/9/10)

まだ記憶に新しい平成27年9月。鬼怒川が決壊し多くの家屋が浸水するなど、台風18号の通過に伴い関東・東北は記録的な大雨となりました。この時は「100年に一度の大雨」と伝えられました。

では、この「◯年に一度」という言葉から私たちは何を感じなければならないのでしょう。

毎年聞かれる「数十年に一度」

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近年、毎年のように「数十年に一度」や「観測史上初」と表現される大雨が発生し、大きな被害をもたらしています。
このような大雨から身を守る上で重要なのが、「ある地点において、50年や100年という長い期間に、どのくらいの規模の雨がどんな頻度で降るのか」を知ることです。

「そんなのどこでわかるの?」

実は気象庁では、確率降水量というものを出しています。
確率降水量とは過去のデータをもとに「この規模の大雨は、平均すると◯年に一度の確率で起こる」というものを統計学的に算出したものです。
では具体的な確率降水量を見てみましょう。

知って備える

確率降水量

気象庁HPを見ると、東京の場合、1日で260mm以上降るような大雨は、平均すると50年に一度の確率で起こりうるとされています。さらに、289mmだと100年に一度、318mmだと200年に一度となっています。
もちろん、この確率降水量は地域によって異なります。

那覇の場合、1日に359mm以上降るような強い雨は50年に一度、399mmだと100年に一度、438mmだと200年に一度の確率で起こりうるとなっています。これは、沖縄のほうが東京よりも台風の影響を受けやすいことが関係しています。
※確率降水量はあくまで確率であるため、50年あるいは100年に一度必ず起こる、というものではなく、50年に2、3回起こることもありますし、もちろん一度も起こらない時もあります。

観測史上1位

また、あわせて地域の「観測史上1位」の値を知っておくことも重要です。
東京であれば、24時間の降水量が約280mmが観測史上1位となっています。
もし、この観測史上1位を上回る雨量が予想された時、どれだけ危険かは皆さんも想像できますよね。
この情報を知っておくと天気予報の見方が変わってきます。

「明日正午までの24時間に予想される雨量は、関東で最大200mmとなっています。」と、テレビから聞こえた時、観測史上1位の値を知っていると、ちょっと身構えませんか?

より詳しい情報を確認したり、万が一に備える人も出てくるはず。その意識が何より大切です。

数十年に1度という言葉から

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今は、調べればかなり古くの災害の記録まで閲覧することができます。
その記録からは、災害の規模はもちろん、人々の生活にどんな影響を与えたのかなど、様々な情報を読み取ることができます。

もし、自身の地域で同じような雨の降り方になった時、被害を最小限にするにはどうすべきか、事前にどんな情報を知っておくべきか考えてみてください。
“氾濫しやすい川や土砂崩れが起きそうな崖はないか”などに加え、今回紹介した“確率降水量や観測史上1位の値”を知っておくことが身を守ることにつながります。

私たちは「数十年に一度」という言葉から、災害規模の大きさや危険度をイメージできるようにし、災害に対応できる力をつける必要があるのです。

参考資料など

【引用元】
気象庁「確率降水量 地点別一覧表(51地点)」https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/riskmap/qt_table.html

【参照・参考元】
気象庁「確率降水量とは」https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/riskmap/exp_qt.html
気象庁「24時間降水量一覧表」https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/pre_rct/alltable/pre24h00.html#a11
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