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検証!電力自由化から1年!エコな電気の使い方

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2017/05/12 06:35 ウェザーニュース

昨年4月にスタートした電力の完全自由化。今年3月31日までに新たな電力会社に契約を変更したのは約343万件で、全世帯の約7%の世帯が切り替えたことになります。「エコな電気」について、あなたはどれだけ知っていますか?
電力自由化のツボをわかりやすく解説します。
※こちらの記事はウェザーニュースの月刊デジタルマガジン「月刊SORA」に掲載中の記事を一部編集してご紹介しています。

目指したい二つの「エコ」

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家庭の電力量計

電力自由化は2000年以降、工場や会社を対象に段階的に実施されてきたが、ついに昨年4月に一般家庭も自由化された。
電力自由化で二つの「エコ」を追求したい。一つは現在のレベルより電気料金を引き下げるという「エコノミー」だ。もう一つは「エコロジー」、つまり二酸化炭素(CO2)の排出を抑えることで地球温暖化にブレーキをかけることだ。はたして、二つの「エコ」は両立するのか?

CO2の排出を減らしたい!

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化石燃料によって二酸化炭素は増える一方
地球温暖化を抑えるには
「エコ」の一つであるエコロジーはCO2の排出を減らし、地球温暖化にブレーキをかけることだ。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の「第5次評価報告書」は、2100年に気温上昇を2℃以内に抑えるには、2050年のCO2排出を2010年に比べて半減(40〜70%削減)する必要があると指摘している。

ペットボトル660本分のCO2
電力会社が電力をつくる際にどれだけCO2を出したかがわかるのがCO2排出係数だ。燃料による発電は次の通り。

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単位(kgCO2/kWh)は、1kWh(キロワットアワー)の電気をつくるのにどれだけCO2を排出したかを表している。石油の場合、1kWhの電気をつくるのに、0.66kgのCO2を出していることになる。容積にすれば500mlペットボトル660本分だ。
一方、CO2排出係数がゼロとされるのが再生可能エネルギーによる発電だ。具体的には、水力発電、太陽光発電、風力発電、地熱発電などがある。

新たな電力の選択
排出係数が小さい電力会社は?

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エコな風力発電
電力会社のCO2排出係数は「電気事業者別排出係数」というタイトルで環境省が公表している。
最新のものでも2015(平成27)年度実績だから、昨年設立された新電力会社は出ていないが、電力会社によって差が大きいことがわかる。環境省は単位に、t-CO2/kWhを使っている。これは、1kWhを発電するのに、何トンのCO2を排出するかを表している。したがって数値を1000倍すれば、何kgのCO2を排出しているかがわかる。もちろん、数値が小さいほど排出するCO2が少ない。
また、「実排出係数」はその電力会社による発電に関する係数。「調整後排出係数」は他社から電力を購入したり、CO2排出取引(J-クレジット)を織り込んだ係数になる。

再生エネルギー使用が多いのは?
エコな太陽光発電

CO2排出係数は、太陽光、水力、バイオマス(化石燃料以外のエネルギー資源)など再生可能エネルギーによる発電割合が多い電力会社ほど低くなる。

年内に公表の排出係数に注目しよう!
環境省の「電気事業者別排出係数」は例年、年末(11〜12月)に前年度の実績が公表される。今年末の公表分には昨年設立された電力会社も掲載される予定だ。CO2排出係数を重視する人は、今年末の公表を待ってから電力会社を選んでもいいかもしれない。
ただし、再生可能エネルギーの比率が高い電力会社は、自然環境によって発電能力が変動しやすく、不足分は大手電力会社などから購入するので、CO2排出係数が大きく変動する場合があることにご注意を。

>>【記事全文】もう一つの「エコ」電気料金が安くなる方法

契約切り替えは30分で完了!

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電力消費が大きいエアコン
なんとなく面倒臭そう
電力会社を切り替えるのは手間がかかると思っている人が多い。新しく電力会社と契約するだけでなく、現在契約している電力会社を解約する必要があるからだ。
実際は、新しく電力会社と契約すれば、自動的に現在契約している電力会社を解約できるため、さほど手間はかからないのだ。

スイッチング支援システム
自動解約できるのは、電力広域的運営推進機関(広域機関)が運用している「スイッチング支援システム」のおかげだ。
新しく電力会社Aと契約する際に、現在契約している電力会社Bの「地区番号」「お客様番号」(「電気ご使用量のお知らせ」に記載されている)などを通知すると、電力会社Aが、その情報を広域機関に伝え、広域機関が電力会社Bに伝えて解約が成立するのだ。

30分で切り替え完了
LED照明なら節電になる

関東地方のAさんは、電力会社切り替えで「東京ガス」を選んだ。電気料金シミュレーションによる年間の節約額約2000円は期待したほどではなかったが、東京ガスなら安心感があったし、LNGによる発電なのでCO2排出係数が比較的小さいからだ。

東京電力と東京ガスの「ご使用量のお知らせ」を手元に置いて、東京ガスのHPに入力していくと30分ほどで契約は完了した。後日、東京ガスから「電気の契約内容のお知らせ」が郵送され、申し込みの25日後から東京ガスの電気が供給されることを知った。

節約を最優先して切り替え
関東地方のBさんは転居を機に電力会社を切り替えることにした。節約が目的なので、いくつかの電気料金比較サイトでシミュレーションした結果、Bさん一家の電気使用状況なら「ミツウロコでんき」が一番節約できることがわかった。
年間約1万2000円節約できるというシミュレーションの通り、毎月の電気料金は1000円ほど節約できた。

CO2排出削減を重視
関東地方のCさんは、地球温暖化を少しでも抑えたいと思い、クリーンエネルギーで発電している電力会社を探していたところ、再生可能エネルギーの電源構成が70%という「みんな電力」に注目した。
HPで、どこで・どんな人が・どんな方式で発電しているかを紹介する「顔の見える発電所」をキャッチフレーズにしている。
世田谷区が東京電力から切り替えたことがニュースにもなった。Cさんも切り替えたところ、さほど電気料金は変わらず、むしろ高い月もあったが、Bさんはエコロジーに貢献できるからと満足している。
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