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目指せ精度99.9%、ウェザーニュースの予報が わずか1年で大幅に改善した前代未聞のプロジェクト

2018/09/15 21:19 ウェザーニュース

ビッグデータ、AI(人工知能)など、あらゆる分野に広がるITの波。情報技術と人の感性を融合することで、より当たる天気予報が実現するかもしれません。

天気予報に人間は用無しか?

日本に気象予報士制度が生まれてから約20年。

これまで延べ1万人が予報士となって、様々な分野で活躍しています。

しかし、この気象予報士が天気図やパソコンと、にらめっこしながら天気を決める時代が大きく揺らいでいます。

AIを始めとした情報技術の進化によって『将来、気象予報士はいらなくなるんじゃないか?』という声も囁かれ始めました。

もう天気予報に人間は用無しか?

そうとも言い切れないワケがあります。

天気予報に欠かせないデータとは

気象庁のアメダス地点は20km四方に一か所の密度

簡単に解説すると、天気予報の精度は予報を計算するうえで、データの”多さ”が決め手となります。

多ければ多いほど、予報の解像度が上がり、先まで見通せるのです。

先まで見通せる計算結果が出ることで、予報のブレが少なくなり、天気が当たりやすくなる。

特に目先の数時間の天気予報は、”実況”の情報を把握することが重要です。

予報の計算の素となる情報がリアルなものほど、そこからの計算結果はリアルに即した物になり、より天気が当たります。

”実況”の情報をなるべく”多く”そろえることが、天気予報を当てる方程式なのです。

全国から届く実況情報

ウェザーニュースに全国から届く実況天気
(23日14時10分−20時10分のデータ)

そこでウェザーニュースでは10年ほど前から、現地の実況情報を報告する”ウェザーリポーター”の取り組みを続けてきました。

自前の観測機だけでなく、1日13万の実況データによって目先の天気予報の精度を大きく上げました。

そしてこの精度をさらに高めるべく、会員の中でも特に貢献度や意欲の高いメンバーに地元の天気マークのコントロールを任せるようにする、前代未聞のプロジェクト、プロジェクトiconが昨年始動しました。

このプロジェクトiconには北は北海道から南は沖縄まで全国47都道府県の地元の人々のべ6,000人が参加。

発表されている目先の天気予報のマークに違和感があれば、正しいマークを提案。

ウェザーニュースの予報センターにて確認の上、修正をするという仕組みです。

この取り組みを約1年半続けてきて、どのような成果となったのか。

成果を発表する、ウェザーニューズ執行役員の石橋知博氏

ウェザーニュースでは、去る3月20日にプロジェクト参加者を招待し、東京の一橋講堂にて発表が行われました。

予報精度が上がった!

6時間先までの範囲では、プロジェクトを始める前から4〜5ポイントも向上し、取り組みの効果が表れました。

そして、プロジェクトの取り組みを踏まえ、さらなる精度向上が期待される取り組みが発表されたのです。

20km四方⇒1km四方の予報へ!

20km四方⇒1km四方の予報の密度変化
要は天気予報の領域の密度を大幅に高め、現在の20km四方では表現できなかった、細かな天気予報を実現するというのです。

これにより天気予報の対象となる地点数は、従来の1,000地点から1,320,371地点となるとのこと。

気象庁の予報の元となるアメダス1,300箇所と比べても10,000倍の地点数です。

この取組にまで至ったのは、人々が協力したウェザーリポートやプロジェクトiconを通し蓄積された無数の実況情報があってこそ。

さらに、この1km四方の天気予報の仕組みには、プロジェクトiconの報告データの特性を学んでいく”機械学習”を組み込みます。

これが情報技術と人の感性を融合させ、よりリアルなデータで、より細かな天気予報を可能にさせるカラクリです。

めざすは精度99.9%の天気予報。実現に向けて動き出します。