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【七十二候】知られざる雁の内面

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2017/04/10 06:22 ウェザーニュース

10日からは「鴻雁北(こうがんかえる)」。ふり仮名がないとなかなか読みにくいですが、日本から寒い北に帰っていく時期ということで、「北」と書いて「帰る」と読ませているようです。

さて今回は、そんな雁たちの性格的な部分に迫ります。

頭脳派で仲間思い

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ベジタブルさん(秋田県)
皆さんは「大造じいさんとガン」という物語をご存知でしょうか。
残雪という非常に賢い雁の群れのリーダーと、雁の狩猟を行う大造じいさんとの攻防が描かれています。

残雪と出会ってからというもの、いくら工夫して罠をしかけても、全く狩猟がうまくいかなくなってしまった大造じいさん。
最終手段として、生け捕りにした雁をおとりに、残雪の群れをおびき寄せるという方法を思いつきます。

いざ、おとりの雁を放とうとした時、その雁はハヤブサの襲撃にあってしまいます。すかさず残雪はおとりの雁を助け、代わりに自身が瀕死状態となります。

大造じいさんは、自分の卑怯なやり方を恥じ、残雪を手当した後、再び堂々と勝負することを決意したのです。

この物語では、残雪が人間の仕掛けた罠を次々に見破り、群れ全体の存続に貢献する賢さや仲間意識の強さがうかがえます。
実際の雁も群れの仲間を非常に大事にする性格のようです。

雁は用意周到?

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sunachanさん(滋賀県)
雁が登場することわざには「葦を啣む雁(あしをふくむかり)」というものがあります。意味は準備に抜かりがない、用意周到など。

なぜこんな意味があるのかというと、渡り鳥である雁は、繁殖地であるロシアからカムチャッカ半島を経由して、日本にやってきます。その距離はなんと約4000km!
そんな長旅に備え、雁たちは木の枝をくわえて飛びます。

「木の枝が何の役に立つの?」

飛び疲れたら木を海に浮かべて、その上で休むのです。
やはり雁は賢い!といいたいところですが、「葦を啣む雁」は故事から生まれた言葉で、実際に雁が木の枝をくわえて渡ってくることはないようです。

雁の振り見て我が振り直せ…そんなメッセージがこの言葉からは感じられるような気がします。

絆の象徴

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雁といえば、Vの字になって飛行する姿が特徴的ですよね。前を飛ぶ仲間の気流に乗ることが出来るV字編隊は、みんなが少ない力で飛ぶことが可能です。
さらに、先頭と一番後ろに力のある雁を配置し、メスや子どもの雁を間に挟んで守っているそうです。

このように、群れをなして飛ぶ姿が強い絆をイメージさせるということで、雁は家紋にも起用されています。かの有名な柴田勝家や真田幸村が使用していたことでも有名です。

物語や、実際の行動を見てもわかるように「自分だけが良ければそれでいい」なんて考えは、雁の中にはないのですね。

私たちが雁から学ぶべきことは、意外にたくさんあるようです。

たかが鳥と侮ることなかれ!

おさらい七十二候

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1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれをさらに6つに分けた24の期間を「二十四節気」といいます。

そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候です。

二十四節気と七十二候は、その日だけではなく、二十四節気であれば15日間、七十二候であれば5日間の期間も指しています。

次回は、清明の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」についてご紹介します。

参考資料など

【参照・参考元】
WEB家紋帳「雁金」kamondb.com/animal/karigane.html
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