facebook line twitter mail

【インタビュー】やることの積み重ね

東北大学災害科学国際研究所 所長 今村文彦さん
top

2017/04/13 01:55 ウェザーニュース

2011年(平成23年)3月11日14時46分、宮城県沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。巨大津波が襲来し、東日本の広い範囲で甚大な被害となりました。

東日本大震災から5年の節目からさらに1年を経過。世の中の関心が薄れていくことが懸念されます。震災の教訓を風化させないためにはどうすればよいのか?「東北大学災害科学国際研究所」所長の今村文彦さんにお話を伺いました。

調査結果から見えた意識の低下

box1
家具の備えの対策状況:減災調査より

ウェザーニュース:災害対策に関して、これまで調査を行ってきましたが、これを見てどのように感じられますでしょうか。

今村:災害や異常気象への意識は阪神・淡路大震災(1995年)から20年で大きくボトムアップしたものの、自分ごととしての認識が不足していることが伺えます。

訓練によって結果が分かれた
2016年の津波避難

box2

ウェザーニュース:東日本大震災では地震発生後の宮城県の中心市街で渋滞が連鎖し、道路という道路が車で埋め尽くされて全く動けない状態「グリッドロック現象」になりました。
そして、2016年11月22日 福島県沖で発生したM7.4の地震による津波避難では、再び同じ現象が発生した地域があったといいます。
なぜ同じような現象が発生してしまったのでしょうか。

今村:東日本大震災での反省が活かされた地域と活かされずに再び同じ現象が発生してしまった地域がありました。
これはまさに地域単位で訓練していたかどうかが明確になった事例です。
「普段移動するルートをあえて変えてみる訓練」や「移動時に車の台数をなるべく減らす訓練」など訓練に工夫を重ねた地域が結果に繋がりました。
※グリッドロック現象についてはページ下の減災調査2017でも解説しています。

”韋駄天競走”にみる訓練意識の継続

box3
ウェザーニュース:訓練を続けるというのはなかなか難しいことですが、「続ける」ためにはどうすればよいでしょうか。

今村:岩手県釜石市では毎年、韋駄天競走というイベントが開催されています。
津波が到達した街中をスタート地点とし、高台にある避難場所(仙寿院)まで駆け上がる企画です。

東日本大震災の記憶と津波発生時の教訓を込め、「逃げることはいいこと」という意識を根付かせるために実施されています。

訓練や点検などの行為はどうしても義務的になってしまい、数年は持つけどなかなか続かないことが多いです。

「お祭り」などを通じて、楽しみながら訓練出来ることが継続する上で重要。そして、「お祭り」は訓練だけでなく、歴史を見直すいい機会にもなります。

意識⇒認識という高い壁


ウェザーニュース:さまざまな取組がされている一方、これらの取組が広く浸透はしていないですよね。最後に今後に向けた課題を一言お願いします。

今村:災害や異常気象に関して無関心な人は、まずいないと思います。特に阪神大震災からはじまり、ここ20年で変わりました。意識は向上しています。

ただし、はじめにもお伝えしたとおり意識 から自分ごととしての認識がまだ不足しています。

最後はどこまで事前にアクション出来るか。やはりここが課題です。

生放送番組でも振り返ります

box5
24時間生放送のSOLiVE24では11日にこの記事の内容を含め、減災特集ということで番組内で振り返ります。

11日(土)21:00−23:00 ソライブムーン番組内
減災調査2017や東北エリアの現地調査、そして、今村文彦さんのインタビューを交えながら、「震災の教訓を風化させないためにどうすれば良いのか」を考えていきます。
  • お天気トピックス
    もっと見る

  • Twitterで
    最新情報つぶやき中!
    「この空あの人にも見せたいな…」そんな想いを共感・共有しながら”みんなで作る天気予報”をモットーにお届けしています。 天気・台風・地震・津波などの防災情報や、星空情報・季節の便り等もお楽しみに♪
  • 公式SNSアカウント
  • アナタのスマホに