観測史上、最高の噴煙
噴煙は1万1000mに達した
10月8日午前1時46分、阿蘇山(熊本県阿蘇市)が大規模噴火を起こした。
阿蘇市などでは爆音が鳴り響き、火山灰が大粒の雨のように降り注ぎ、噴石が住宅の屋根を叩いた。
さらに噴火の影響と思われる停電が数万戸で発生した。
夜間のため望遠カメラでは確認できなかったが、気象衛星「ひまわり」やレーダーでは噴煙が高度1万1000mまで立ち上るのを確認、噴煙は観測史上最高を記録し、降灰は西風に乗って四国・中国地方に達した。
阿蘇市などでは爆音が鳴り響き、火山灰が大粒の雨のように降り注ぎ、噴石が住宅の屋根を叩いた。
さらに噴火の影響と思われる停電が数万戸で発生した。
夜間のため望遠カメラでは確認できなかったが、気象衛星「ひまわり」やレーダーでは噴煙が高度1万1000mまで立ち上るのを確認、噴煙は観測史上最高を記録し、降灰は西風に乗って四国・中国地方に達した。
4月には小規模噴火
今年4月14日に発生した熊本地震との関連が取りざたされている今回の阿蘇山噴火。
本震が発生した4月16日にも小規模の噴火が起こった。
京都大学大学院理学研究科教授の大倉敬宏(たかひろ)さんは、2000年から阿蘇山の火山研究センターで観測を続けている。
大倉さんが語る。
「4月16日の噴火は、熊本地震の強い揺れにより火口壁が崩落し、崩れた土砂が噴気で吹き上げられたごく小さい規模のものと思われます」
本震が発生した4月16日にも小規模の噴火が起こった。
京都大学大学院理学研究科教授の大倉敬宏(たかひろ)さんは、2000年から阿蘇山の火山研究センターで観測を続けている。
大倉さんが語る。
「4月16日の噴火は、熊本地震の強い揺れにより火口壁が崩落し、崩れた土砂が噴気で吹き上げられたごく小さい規模のものと思われます」
半年後の噴火
4月の小規模噴火から約半年、阿蘇山は噴火を起こした。地下では何が起こっていたのか。
気象庁は、マグマが上昇して地下水に触れて爆発した「マグマ水蒸気爆発」と発表したが、大倉さんの見立ては違う。
「気象庁が『マグマ水蒸気爆発』というのは、火山灰の中にマグマ由来のガラス成分が含まれているからですが、火口周辺の噴出物にはマグマ由来のものが見られない。
私は、高温ガスが地下水に触れたことで起こった『水蒸気爆発』と見ています」(大倉さん)
火山灰にガラス成分が含まれていたのは、2014年からのマグマ噴火の噴出物が水蒸気爆発で一緒に出てきたからだと大倉さんは解説する。
また、阿蘇の火口湖(湯だまり)堆積物にふだんから含まれていたガラス成分も吹き飛んだのだろう、とも言う
気象庁は、マグマが上昇して地下水に触れて爆発した「マグマ水蒸気爆発」と発表したが、大倉さんの見立ては違う。
「気象庁が『マグマ水蒸気爆発』というのは、火山灰の中にマグマ由来のガラス成分が含まれているからですが、火口周辺の噴出物にはマグマ由来のものが見られない。
私は、高温ガスが地下水に触れたことで起こった『水蒸気爆発』と見ています」(大倉さん)
火山灰にガラス成分が含まれていたのは、2014年からのマグマ噴火の噴出物が水蒸気爆発で一緒に出てきたからだと大倉さんは解説する。
また、阿蘇の火口湖(湯だまり)堆積物にふだんから含まれていたガラス成分も吹き飛んだのだろう、とも言う
現れていた兆候
マグマだまりが膨張していた
実は、10月8日の爆発的噴火は、いくつかの兆候があったと大倉さんは言う。
「ひとつは、GPSによる長陽−本堂の距離計測の変化です。この間にマグマだまりがあるとみられています。距離にして約7.5kmありますが、これが7月中旬から2ヵ月間で1cm弱伸びました。この時期にマグマだまりが膨張したと考えられます」
「さらに長周期微動の振幅が大きくなったり、地下の温度も上昇していました。
これらは火山活動が活発になったことを意味しています」
「ひとつは、GPSによる長陽−本堂の距離計測の変化です。この間にマグマだまりがあるとみられています。距離にして約7.5kmありますが、これが7月中旬から2ヵ月間で1cm弱伸びました。この時期にマグマだまりが膨張したと考えられます」
「さらに長周期微動の振幅が大きくなったり、地下の温度も上昇していました。
これらは火山活動が活発になったことを意味しています」
噴火警戒レベルは変わらず
大倉さんは、こうした観測結果を福岡管区気象台に連絡した。
「気象庁とは9月30日と10月3日に電話で意見交換をしました。気象台は、火山活動が活発になっているとの共通認識にいたり、今後の活動を注意深く監視することになりました。ただ、、噴火警戒レベルは変えられませんでした。この時点で噴火の規模を予測することは難しいです」と大倉さんは語る。
「気象庁とは9月30日と10月3日に電話で意見交換をしました。気象台は、火山活動が活発になっているとの共通認識にいたり、今後の活動を注意深く監視することになりました。ただ、、噴火警戒レベルは変えられませんでした。この時点で噴火の規模を予測することは難しいです」と大倉さんは語る。
御嶽山との違い
ここで思い出すのは一昨年9月27日に起こった御嶽山(おんたけさん)の噴火だ。
紅葉シーズンの土曜日、山頂付近は登山客で賑わっていたが、午前11時52分に水蒸気爆発を起こした。
噴火警戒レベルは1で、ほとんど無警戒だった。そして死者58人、行方不明者5人という戦後最悪の犠牲者を出してしまった。
阿蘇山の噴火警戒レベルは2014年8月30日から、2(火口周辺規制)になっている。
火口周辺はずっと立ち入り禁止だった。また、地震の影響で夜間は登山道路が通行止めになっていて、火口から3km以内には人が立ち入れない状況にあった。
こうしたことが影響してレベルを上げないことになったかもしれないが、最低限の対策はなされていた。こうした対策により犠牲者は出なかったのである。
「噴火警戒基準」見直しへ
10月8日の大規模噴火の直後、気象庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。
「10月7日の21時52分に発生した噴火の後の展開が急だったこともあり、気象庁の対応(レベル上げ)は後手に回ってしまった。この経験(レベル引き上げ機会逃し)を踏まえて、どんな兆候が現れたら噴火警戒レベルを変更するか、見直しを行うことにしています。しかし、レベル上げとは別に、火山活動が活発になったら、臨時の火山情報等を出して然(しか)るべきでした」(大倉さん)
紅葉シーズンの土曜日、山頂付近は登山客で賑わっていたが、午前11時52分に水蒸気爆発を起こした。
噴火警戒レベルは1で、ほとんど無警戒だった。そして死者58人、行方不明者5人という戦後最悪の犠牲者を出してしまった。
阿蘇山の噴火警戒レベルは2014年8月30日から、2(火口周辺規制)になっている。
火口周辺はずっと立ち入り禁止だった。また、地震の影響で夜間は登山道路が通行止めになっていて、火口から3km以内には人が立ち入れない状況にあった。
こうしたことが影響してレベルを上げないことになったかもしれないが、最低限の対策はなされていた。こうした対策により犠牲者は出なかったのである。
「噴火警戒基準」見直しへ
10月8日の大規模噴火の直後、気象庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。
「10月7日の21時52分に発生した噴火の後の展開が急だったこともあり、気象庁の対応(レベル上げ)は後手に回ってしまった。この経験(レベル引き上げ機会逃し)を踏まえて、どんな兆候が現れたら噴火警戒レベルを変更するか、見直しを行うことにしています。しかし、レベル上げとは別に、火山活動が活発になったら、臨時の火山情報等を出して然(しか)るべきでした」(大倉さん)
