「暑熱順化」〜熱中症に負けない体づくり〜

環境省は暑さに強い体をつくる暑熱順化(しょねつじゅんか)を推奨しています。

暑熱順化とは体がしだいに暑さに慣れて暑さに強くなることですが、この暑熱順化を熱中症のリスクを減らすために本格的な暑さが来る前に準備しておくことを推奨しています。

2週間でできる「暑熱順化」

ポイントは「汗をかける体にすること」です。

1)「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる程度の運動(早足ウォーキングや軽いジョギングなど)を毎日30分ほど続ける

2)40℃程度の湯温の湯船に、10〜15分が目安に汗が出るまで浸かる

1)か2)を2週間ほど続けることで体が暑熱順化し、(1)発汗量が増え、(2)汗に含まれる塩分濃度が低下し、(3)皮膚血管が拡張し、(4)循環血液量も増加する、という4つの効果がでてきます。

でもなぜ、発汗量が増えたり汗の塩分濃度が低下すると暑さに強い体になるのでしょうか。

体温上昇を防ぐメカニズム

汗はかわくとき(気化するとき)に体温を奪い、体温を下げる働きがあります。つまり、汗をかきやすい体になれば皮膚の表面から気化熱が奪われやすくなるため、体温の上昇を防ぎ熱中症になりにくくなるのです。

また暑熱順化した体の汗は、暑熱順化する以前に比べて含まれるナトリウムイオン濃度が30〜40%低下します。そのため、ナトリウムなどの生命維持に必要なミネラル分が汗と一緒に排出される量が減り、ケイレンや意識障害など熱中症特有の症状が起こりにくくなるのです。

体のラジエター機能を高める

また、3)皮膚血管が拡張し、(4)循環血液量も増加するという効果では、体温がそれほど上昇しなくても皮膚血管が拡張し放熱しやすくなります。循環血液量が増加することで、運動機能を向上させるとともに体内の熱の放出を促してくれます。つまり、人体のラジエター(放熱器)機能を高めて、暑さに強い体になるということなのです。