「熱中症警戒アラート」とは

「熱中症警戒アラート」をご存知ですか?これまでは最高気温がかなり高くなると予想されるときに「高温注意情報」が発表されていましたが、その「高温注意情報」を発展させたものです。

2020年は関東甲信の1都8県を対象に試行され、2021年度から全国で本運用が始まりました。

どんな状況が予想されると「アラート」が発表されるのかを解説します。

暑さ指数が33℃以上でアラート

「熱中症警戒アラート」は都道府県等の地域ごとに発表され、ある地点で暑さ指数(WBGT)が33℃以上になると予想された場合に都道府県単位で、前日の17時頃と当日の5時頃に「アラート」が発表されます。

【発表対象地域】
全国を58に分けた府県予報区等を単位として発表(北海道、鹿児島県、沖縄県を細分化)

【発表基準】
発表対象地域内の暑さ指数(WBGT)算出地点のいずれかで、日最高暑さ指数を33以上と予測した場合に発表

【発表のタイミング】
前日の17時頃及び当日の5時頃に最新の予測値を元に発表

【情報提供期間】
毎年4月第4水曜日17時発表分から10月第4水曜日5時発表分まで

暑さ指数とは?

暑さ指数とは暑さの厳しさを示す指標で、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで開発されました。単位は気温と同じ℃で示されますが、気温だけでなく、湿度、日射・輻射(ふくしゃ/建物や地面からの照り返し)などの熱も取り入れた数値になっており、湿度7:輻射熱2:気温1の割合で算出されます。

熱中症対策には気温だけでなく、汗の蒸発具合に影響する湿度、輻射熱が重要となるため、暑さ指数は単純な気温と比べて、熱中症患者発生率との相関が良好であるという特徴があります。

暑さ指数が33℃になるのは、気温36℃で湿度60%、気温34℃で湿度70%、気温32℃で湿度85%という具合に、湿度が高いと気温が低くても暑さ指数が33℃に達してしまいます。

アラートが発表されたらどうする?

「熱中症警戒アラート」が発表されたら、次のような予防行動をとるよう呼びかけられます。

【熱中症のリスクが高い人に声をかける】
熱中症になりやすい高齢者、子ども、障害者の方々は十分に注意を。身近な方から、夜間を含むエアコンの使用やこまめな水分補給等を行うよう、声をかけましょう。

【外での運動や活動を中止・延期する】
・不要、不急の外出は出来るだけ避ける
・エアコン等が設置されていない屋内外での運動や活動等は、原則、中止や延期をする

【「熱中症予防行動」を普段以上に実践する】
・のどが渇く前にこまめに水分補給しましょう。(1日あたり 1.2L が目安)
・屋外で人と十分な距離(2メートル以上)を確保できる場合は適宜マスクをはずしましょう。
・涼しい服装にしましょう。

【外出はできるだけ控え、暑さを避けましょう】
・熱中症を予防するためには暑さを避けることが最も重要です。
・昼夜を問わず、エアコン等を使用して部屋の温度を調整しましょう。
・不要不急の外出はできるだけ避けましょう。

【暑さ指数(WBGT)を確認しましょう】
暑さ指数は時間帯や場所によって大きく異なるため、身の回りの暑さ指数を環境省熱中症予防情報サイトや各現場で測定して確認しましょう。

1シーズンで「アラート」が発表されるのは東京都の場合は平均で7日程度とみられています。これは従来の高温注意情報の半分程度の頻度で、より危険性の高いときに絞って発表されると理解すると良さそうです。

参考資料など

環境省「熱中症警戒アラート(試行)」の先行実施について」(https://www.env.go.jp/press/108118.html)、「熱中症警戒アラート(試行)発表時の予防行動」(https://www.env.go.jp/press/files/jp/114060.pdf)