【連載】二宮清純の「スポーツと気象」(7)

濃霧と共に語り継がれる“日本シリーズ”

文:二宮清純
濃霧で視界不良になり協議する審判団(写真:時事)
濃霧で視界不良になり協議する審判団
(写真:時事)
雨や風などの天候から偶然生まれた名場面をスポーツジャーナリスト・二宮清純氏が解説するスポーツノンフィクション。今回は阪神対千葉ロッテの2005年の日本シリーズ。打球が見えないほどの前代未聞の濃霧に見舞われた試合の結果は?

濃霧中断→コールドゲーム

プロ野球がセ・リーグとパ・リーグの2リーグ制となったのは1950年からである。つまり昨シーズンまでに66回の日本シリーズが行われている。
その中で、濃霧を理由に試合が中断され、そのままコールドゲームとなったのは後にも先にも2005年の日本シリーズにおける一試合だけである。
このシリーズは阪神と千葉ロッテの間で行われた。ロッテはレギュラーシーズンこそ2位だったが、プレーオフで西武(同3位)と福岡ソフトバンク(同1位)を破り、日本シリーズにコマを進めてきた。
初戦は10月22日、舞台はロッテの本拠地千葉マリンスタジアム。阪神は井川慶、ロッテは清水直行の先発で始まった。
二宮清純(スポーツジャーナリスト)
二宮清純(スポーツジャーナリスト)

1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『プロ野球の職人たち』(光文社新書)『最強の広島カープ論』(廣済堂新書)『広島カープ最強のベストナイン』(光文社新書)など著書多数。