【連載】二宮清純の「スポーツと気象」(2)

猛吹雪から生まれた“虹の”大ジャンプ

文:二宮清純
長野五輪スキージャンプ団体2本目の原田(写真:時事通信)
長野五輪スキージャンプ団体2本目の原田
(写真:時事通信)
雨や風などの天候から偶然生まれた名場面をスポーツジャーナリスト・二宮清純氏が解説する新連載。第2回は長野冬季五輪、ジャンプ団体戦。五輪史上最悪と言われた猛吹雪がそのとき一瞬やんだ……。そして奇跡が。

極限の精神状態

1998年2月17日。長野冬季五輪、ノルディックスキー・ジャンプ団体戦。
それは「着地」というよりも「着陸」という表現の方がふさわしいように感じられた。
K点(120m)をはるかに超え、原田雅彦が舞い降りた地点は白馬(はくば)におけるバッケンレコードタイ(当時)の137m。日本の金メダルが事実上、決まった瞬間だった。
後に、原田は五輪史に残る名シーンをこう振り返った。
「あの時は“絶対に金メダルを取る”という極限の精神状態の中にいました。そうでなければ、あれだけの距離を出すのは不可能だったと思います」
二宮清純(スポーツジャーナリスト)
二宮清純(スポーツジャーナリスト)

1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『プロ野球の職人たち』(光文社新書)『最強の広島カープ論』(廣済堂新書)など著書多数。