なにか変だぞ! 世界の気象(1)

キリマンジャロの雪がなくなる!?

世界に目を向けてみると、気がかりな異常気象が少なくありません。新シリーズでは毎月、世界各地の異常気象や極端現象を報告します。第一弾は、キリマンジャロの雪です。
アフリカ・タンザニアにあるキリマンジャロ(標高5,895m)は赤道付近にもかかわらず、山頂部には氷河が存在している。ヘミングウェイの小説のタイトルにもなった「キリマンジャロの雪」は、じつは氷河なのだ。
ちなみに、「キリマンジャロ」の「キリマ」はスワヒリ語で山、同じく「ンジャロ」は白さという意味で、「白く輝く山」を意味する。しかし、米国オハイオ州立大学などの研究者によると、1912年から2007年までの95年間に、氷河の面積が85%も減少し、早ければ2022年、遅くとも2033年には氷河が溶けてなくなると予測されている。
1993年の山頂の氷河

1993年の山頂の氷河

2000年の山頂の氷河

2000年の山頂の氷河

地球温暖化の影響という説が強いが、山頂付近の気温はこの100年で0.5℃しか上昇しておらず、温暖化の影響ではないという説もある。では何が原因かというと、この100年で山頂付近の降水量が20%以上も減少しているので、アフリカの砂漠化の進行が影響しているのかもしれない。
大陸最高峰の山のなかでは登りやすいため、登山家でなくとも山頂まで登ることができ、世界中から多くの登山客が集まる。登山には現地ガイドの同行が義務付けられ、ほとんどがガイド、ポーター(荷物を運んでくれる人)、コックを揃えたツアー(標準行程は4泊5日)に参加してチームで山頂を目指す。
山麓の標高1,000mから1,900mまではコーヒーなどのプランテーションや農地が拓かれている。コーヒーはもちろん「キリマンジャロ」である。世界的に高い評価を受けているが、「キリマンジャロ」の最大消費国は日本である。