台風8号が温帯低気圧に
消滅後も激しい雨に注意
2021/07/28 16:05 ウェザーニュース
7月28日(水)15時に、台風8号(ニパルタック)は秋田県沖で温帯低気圧に変わりました。
この低気圧は次第に日本海へ離れて衰弱するため、この先は直接の影響はほとんどなくなる見込みです。
一方、台風が消滅したあとも、上空の寒気や湿った空気の影響で、低気圧の中心から離れた所で局地的に激しい雨が降っています。明日29日(木)にかけても大雨による浸水や土砂災害等に注意してください。
▼温帯低気圧 7月28日(水)15時
存在地域 秋田沖
移動 北西 30 km/h
中心気圧 998 hPa
24時間で100mmを超える雨を観測
24時間降水量 28日(水)10時まで
東北地方の太平洋側では雨の量が多くなっており、24時間雨量が100mmを超えているところもあります。
太平洋側の沿岸部での雨のピークは既に過ぎていますが、雨が止んでもしばらくは土砂災害等に注意し、急な斜面には近づかないでください。
日本海側の地域は午後にかけて強い雨風に注意
雨の予想 28日(水)14時
このあと日本海側では、台風の最接近に伴って、午後にかけて雨や風が強まることがあります。
強い所では、一時的に1時間に30mm前後の強い雨が降る可能性もあるので、道路の冠水、用水路や中小河川の増水などに注意してください。
午後以降も台風の中心から離れたところで雨や風が強まるところがあるため、進路だけにとらわれず、雨雲レーダーなどで最新状況を確認するようにしてください。
局地的には150mm前後の大雨のおそれ
台風の中心から少し離れた所に活発な雨雲の帯が形成されています。東北地方では台風の接近前から雨が降っていて、福島県内では24時間雨量が100mmを超えているところがあります。
台風の接近に伴い、非常に湿った空気が東から吹き込むため、特に山の東側斜面では雨雲が発達しやすく、宮城県や岩手県などでは総雨量が150mm前後に達するおそれがあります。
これらの地域は西日本などの多雨地域と比べると、川の許容流量や地盤の強化状況などが違うため、相対的には少ない雨量でも、洪水や浸水、土砂災害などの被害が発生するおそれがあります。
増水した川や水路等に近づくと危険ですので、様子を見に行ったりしないでください。また、冠水した道路等では側溝などとの境目がわかりづらくなり、車や人が転落して流されるおそれがありますので、荒天の最中はむやみな外出はおやめください。
風も強まり、交通機関に影響も
台風8号はこのあとも顕著な発達は予想されず、暴風域を伴わずに接近してくる予想です。大規模な停電などの被害が発生する可能性は低いとみられますが、倒木などによる局地的な停電が発生するおそれがあります。
また、東北地方ではJRがすでに一部の運転取りやめを発表するなど、交通機関に影響が出ています。移動の予定がある方は、最新情報をホームページなどで確認して、予定の変更を検討することもおすすめします。
強い風が吹いている間は、飛来物などに十分注意してください。
珍しい進路の台風 宮城県に上陸すると統計史上初
台風といえば日本付近では西から東に進むことが多いイメージですが、台風8号は東日本に東側から接近してきました。北上を阻む太平洋高気圧の存在と、寒気のかたまり「寒冷渦」による風の流れが影響しています。
本州付近に東から接近してくる台風は多くなく、近年では、岩手県に統計史上初めて上陸した2016年の台風10号や、三重県に上陸して西日本を東から西に縦断した2018年の台風12号などがあります。
もし、台風8号が宮城県に上陸した場合、統計記録が残る1951年以降では初めてのこととなります。岩手県に上陸した場合は5年ぶりで統計史上2回目のことになります。
今月3つめの台風発生
台風が発生するのは、19日(月)に発生した台風7号以来で、今年7月の3つめの台風発生です。今週になって台風発生が相次いでいます。
7月の台風発生数の平年値は3.7個で、例年台風の発生が一気に増えてくる頃です。夏の台風はジェット気流の影響を受けづらく迷走することが多いため、進路の情報にはいっそうの注意が必要です。
日本の南海上は積乱雲の発達しやすい状況が続く
予想天気図 明日9時
来週にかけて太平洋高気圧が東から日本列島を覆い、日本の南の海上は高気圧に覆われない状況が続きます。
既に南鳥島近海で熱帯低気圧が発生しているほか、明日朝までには日本の南でも熱帯低気圧が発生する可能性があります。その後もしばらく似た気象環境が続くため、さらに熱帯低気圧が発生する可能性があります。
現時点では、まだ新たな台風の発生は予想されていないものの、引き続き注目が必要です。
台風の名前
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風8号の名前「ニパルタック(Nepartak)」はミクロネシアが提案した名称で、有名な戦士の名前からとられています。