facebook line twitter mail

【三浦豪太】天気予報とエベレストの大渋滞

top

2017/09/19 05:45 ウェザーニュース

父・三浦雄一郎氏とともに過酷な冒険を続ける三浦豪太氏が、エベレストを舞台に、20年前の大事故の教訓を語ります。
天気予報の進化が生んだ新たな危険とは!?

20年前の教訓

box0
標高8400m、通称バルコニー
1990年代に入りエベレスト登山に公募隊ができた。これは商業登山とも呼ばれ、通常登山家が仲間と一緒に協力して山頂を目指すのに対して、公募隊の参加者は公募隊にお金を払い経験豊富なガイドとともにシェルパや酸素を利用して山頂を目指す。
当時、経験が少ない登山者でも募る公募隊が急増、1996年についに8名の登山者がエベレストにて亡くなるというエベレスト史上最悪の大量遭難事故が発生した。この事故は商業化された登山を見直す一つのターニングポイントともされている。

この事故から多くの教訓を学ぶことができる。ガイドとクライアントの技量と関係性、増加する登山者の渋滞等これまで登山とは無縁と思われていた社会構造がエベレストで浮き彫りとなった。僕はこうした教訓の一つに当時、遭難した登山者が信頼しきれなかった天気予報の甘さも含まれると思う。
前述の遭難事故ではアタック当日、エベレストに嵐がくる可能性があったが、その未明に空は晴れ渡り無風であったため、それを吉兆と見た彼らは嵐の発生予測を低く見積もり出発したのだ。当時は山岳地方の細かい予報は難しかったのかもしれない。

天気の読み方も上達

box1
エベレスト山頂をバックに親子で記念撮影
現在では天気予報も通信環境も当時とは比べものにならないほど向上している。僕自身2003年、2008年、そして2013年にそれぞれエベレストに行っているのだが、毎回天気の読みの精度が上がる。

2003年はインターネットを通じてエベレスト付近の気象データを元に自分たちで予想していた。しかし素人同然の僕たちの予想はことごとくはずれ、天候は悪化、頂上につくまで4日間のビバークを余儀なくされた上、山頂では霧が立ち込め、景色を見ることができなかった。
2008年からはウェザーニュースの支援を受けての登山となった。通信回線も格段に良くなり、情報量も増えたおかげで予報は的中、山頂は晴れ渡っていた。しかし残念ながら僕自身、重篤な高山病にかかってしまいこの景色を見ることは叶わなかった。
そして2013年、同じくウェザーニュースのサポートを受けてエベレストの山頂を目指した。<続きを読む>
  • お天気トピックス
    もっと見る

  • weathernewsのtwitterアイコン

    毎日の天気から防災・地震速報まで
    役立つ情報を日々配信中!

  • 公式SNSアカウント