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うどんとそばの分かれ目には天候が関係していた!?

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2017/09/26 05:15 ウェザーニュース


商業施設のフードコートや駅の中など様々なところで手軽に食べられるうどんとそば。

そんな2つの麺には地域性があり、北・東日本ではそば、西日本ではうどんが主流という傾向にあります。ではなぜ、このように分かれたのでしょうか。

そばは東、小麦は西が優勢

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農林水産省の平成28年産作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物)をもとに作成
原料であるそば・小麦の収穫量に注目すると、1位はともに北海道。
2位以下を見てみると、そばは東日本および東北、小麦はやや西日本が多くなっています。
このように分かれる要因には、どうも天候が関係しているようです。

栽培地の特徴

九州北部の土壌は水はけが良く、小麦の栽培には適した土地となっています。
さらに、根本から新芽が伸びて株分かれする12月に雨が多いと収穫量の減少につながるのですが、12月の降水量は少なめ。また、収穫を控えた5月中旬頃に日照が増えて、降水量がさほど多くないことも収穫に適した気候といえます。

一方そばは、米作りには適していないような荒地や寒冷な地でも育つことができます。
寒冷地での生育に適しており、昼と夜の寒暖差があるほうが品質の良い物ができると言われています。
そのため北日本で特に多く生産されているのです。

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農林水産省の平成21年米麦加工食品生産動態等統計調査年報をもとに作成

番外編

うどんと同じく小麦を使って作られるそうめんですが、こちらは特に関西の太平洋側で多く作られています。
というのも、そうめんが作られるのは寒い冬。
雪の日が多くなる北日本や日本海側では天日干しができないためだと言われています。

地域性はなくなりつつある!?

近年では小麦の約9割が輸入物となり、そうめんの乾燥が機械化するなど、天候による地域ごとの食文化の違いはなくなりつつあります。
◯◯ならでは、という食べ物が減っていくのは少々残念ですが、美味しいものを様々な所で楽しめるようになっていると考えると悪いことでもないのかもしれません。

参考資料など

【参考・参照元】
農林水産省「平成28年産作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物) 」http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/index.html
農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査(平成21年)」http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/beibaku_kako/
ウェザーニューズ(2007)『知ればトクする天気予報99の謎』二見書房
福岡管区気象台「九州北部地方の天候の特徴(解説)」http://www.jma-net.go.jp/fukuoka/kaiyo/tenkou_main.html
西尾 善太, 内川 修, 西岡 廣泰, 杉田 知彦, 岡見 翠, 松中 仁, 塔野岡 卓司, 中村 和弘(2017)「北部九州における気象条件との関係に基づいたコムギの収量向上の方策」日本作物学会紀事 86 ( 2 ) 139 - 150
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