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寒さが生み出す芸術「窓霜」

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2017/01/25 06:52 ウェザーニュース

北国では、冷え込みの厳しい早朝に、窓の内側に美しい模様の霜が現れることがあります。
これは「窓霜(まどしも)」と呼ばれているものです。
窓霜は、空気中の水蒸気が凍ってできる氷の結晶の一種で、結晶のひとつひとつには、針状、羽毛状、樹枝状、板状、コップ状など、さまざまな形があります。

窓霜のメカニズム

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窓霜は美しい模様を持っています
窓霜が見られるのは、一般に外気温が氷点下6度以下という寒さの厳しいときです。
外気によって窓ガラスが冷やされると、ガラスに接する水蒸気も冷えて水滴に変わり、やがてその一部が氷点下まで冷やされると氷の結晶になります。
さらに、周囲の水蒸気が急激に冷やされ、氷となってその結晶に付着していくと、結晶はどんどん大きくなって美しい模様を作り出すのです。

ヨーロッパのある地方には、窓霜についての言い伝えがあります。
凍てつく寒い夜には、とげだらけのよう精が窓ガラスに氷の指紋をつけていくというものです。
このよう精は「ジャックフロスト」とよばれ、窓霜はその妖精の指紋というわけです。

色々な場所にできる霜

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霜は、空気中の水蒸気がいろいろなものに付着して凍ったときにできる氷の結晶です。
いろいろな場所にできますが、やはりすぐに思い浮かぶのは地面の上でしょう。
水蒸気の量が多いところほどできやすくなるため、水分を多く含む地面のすぐ上では霜ができやすいのです。

また積もった雪も、水分をたっぷりと含んでいるため、その表面に霜ができることがあります。
さらに、植物も呼吸によって水蒸気を放出しているため、葉や樹木の表面も霜ができやすい場所です。
木の枝などに見られる霜は樹霜(じゅそう)と呼ばれ、北国における冬の風物詩になっています。

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木曽のカミタンさん(長野県木曽郡)
「霜良く育っています!」

美しいだけじゃない

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kurikoさん(千葉県柏市)
「早朝は野菜の葉の上に霜の花が咲いたようです。」
霜は、農作物に被害をもたらすこともあり、これは霜害(そうがい)とよばれています。
一般的には、農作物の収穫時期である秋の初霜や農作物の発育期である春の遅霜による被害があります。
一夜にして広い地域に被害をもたらすため、農家の人々は経済的にも大きな損失を受けることになります。
美しい反面、人間生活をおびやかす存在でもあるのです。

参考資料など

ビジュアル博物館気象 (同朋舎出版)
NHKハンドブック (NHK出版)
雪氷辞典 (日本雪氷学会)
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