当日は、高気圧の中心が西に移動し、湿った空気が流れ込んだことにより、中部地方や西日本を中心に大気の状態が不安定となった。特に長野県内では広いエリアでゲリラ雷雨となり、非常に激しい雨となった所もあった。雷雨の要因は、南から暖かく湿った空気が流れ込んでいたこと、さらに昼間の気温上昇により、雨雲が発生したことである。
また、長野県北部や中部(松本市付近)で発生した積乱雲から吹き出す北風と、伊那谷を通って南から吹き込んだ風、山梨県方面からの風がぶつかり、雷雲が発生・発達。さらに、雨雲を流す風が弱かったために雨雲の動きが遅くなり、諏訪湖付近では夜になっても激しい雨が継続し、諏訪では20時29分までの1時間に観測史上1位の記録となる74.5mmの非常に激しい雨を観測した。
この日は諏訪湖で花火大会が開催されたが、雷雨により開始30分後に中断、そのまま中止が決定した。各交通機関を利用して50万人近くの見物客が訪れており、強雨によりJRや高速道路も運休や通行止めが相次ぎ、鉄道だけでも5万人が影響したと見られる。帰宅困難者が6千人にものぼり、小学校などの施設で一夜を明かす見物客もいた。また、雨に打たれることによる低体温症で71人が搬送されたり、道路冠水などが発生したりするなど、影響が大きくなった。
午前中からモクモクと空高く成長する雲の報告が多く寄せられた。長野県中部・南部の山に沿って、広範囲に積乱雲(ゲリラ雷雨のもとになる雲)が発達中というリポートが届き、防衛隊本部も注目していた。 また、南よりの暖かく湿った風が吹いている、かなり暑いという報告も多く、雲の発達・ゲリラ雷雨の発生を予感させるリポートが届いていた。昼過ぎになると、諏訪湖の北にある美ヶ原付近(標高約2000m)からはポツポツと雨が降り出した、というリポートが届きはじめ、その後、諏訪湖上空でも急激に雲が発達中、という報告が到着。
濃いグレーの雲の報告が次々に届き始め、「スマートアラーム(ゲリラ雷雨モード)」送信のきっかけとなり、15時20分頃から諏訪湖周辺にスマートアラームの送信を行った。15時30分頃を過ぎると、諏訪湖周辺から雨柱(積乱雲の下の強い降水が、柱のように見える現象のこと)や濃いグレーの雲の報告が到着し、15時50分頃には諏訪湖一帯でゲリラ雷雨発生となった。 17時を過ぎると、雨はいったん収まったものの、19時前になると再び活発な雨雲が発生し、諏訪湖周辺でもゲリラ雷雨となった。一度目の雷雨よりも二度目の雷雨の方が、雷雨の継続時間が長く、さらに激しい雨が広範囲で降ったため、花火大会の中止、鉄道の運休など、影響が大きくなった。